世の中が、なんだかおかしなことになっていることは分かるのだけど、あまりにも現実味がなくて、長い映画を見ているような気がしてくる
多くの人が身を削って最善を尽くそうとしてくれている一方で、揚げ足を取り、人を叩き、八つ当たりするような連中がのさばっている
不安や恐れから、そういう言動につながるのは分からなくもない、でもそうしたところで不安や恐れが消えるわけでもない
自分は何をすべきなのか、自分に何ができるのか真剣に考える人たちを見ていると、少し焦ってしまう
私も少しだけ考えてみたけれど、強い使命感や奉仕の心よりも、現実味のなさが上回ってしまった
今日もマスクをして、電車に乗っている
こんな時だからこそ、できるだけ楽しいことをしたいけれど、電車に乗って仕事に行くためには、あらゆる邪念や感じる心を一度無にする必要があるため、家に帰っても、休日も、無になった心を引きずり、楽しんだり、何か作るような状態に切り替えるのは難しい
ネットを見ると、自分の中に生まれそうな気持ちや言葉が、溢れている大量の情報に押し流されて、波のように消えていく、慎重に選んでいた言葉たちも、もうどうでもよくなってしまう
友だちが、心身ともに健やかに暮らせているか心配になる
でもなぜだか、なんとなく、電話する気になれない、なぜだろう
せめて、春らしい色の服を着てみたものの、あいつ外出してる上に、浮かれやがって、と思われやしないかと、すまない気持ちになってしまう
新宿の空に、飛行機が、何台も飛んでいて、しかもやたらと低い
デパートは軒並み休業していて、でも密接な距離感でデートしている男女をたくさん見かけた、それって本当に愛なのか
大きな世界堂の袋を持っている人たち、家にこもって、絵を描くのだろうか、少しうらやましい
自分でちゃんと作ったごはんに、何も感じない、ちゃんと作ったのに、出来上がった瞬間に空腹を感じなくなって、どうでもいいお菓子とか食べちゃう
こんなことになっても、自分はかろうじて生きてて、恵まれてるなあ、ありがたいなあと一瞬思う、でも一瞬だけ、そしてすぐに無になる
なにもかもが灰色に濁っていて、40点のような気分の日、明日はどうだろう

ハミスチー