自分を大切にすることに決めたQ。そうした方がいいんでしょう、と思いながらも茶をすすり、重い腰を上げられずにいたQだが、ついに腹をくくった。そうする必要性を感じたから。

手始めに自分を責めたり否定する言葉を使わないことに決めた。最悪、全然ダメ、みっともない、どうせ自分は、能力がない、醜い、全部辞めた。まずは形から。うっかり否定してしまうこともあった。どこからともなく悪魔がやってきて、煙のように囁く。悪魔の声は、よく知る誰かの声に似ていた。それでも都度丁寧に、これは考え方の癖。事実ではない、思い込み。本当はそんなことない。自分は素敵。できることもたくさんあるし、できないからと言ってそれが何?と訂正して言い聞かせた。それを何度も繰り返した。来る日も来る日も繰り返した。馴染むまで1年かかった。訂正の必要がなくなるまで2年かかった。Qは少し自分のことが好きになった。