雨だれは蜘蛛の糸
ベランダから下を覗き込むと
小学生が持った八角形の蝙蝠傘がくるくると回って
隣の子のランドセルを濡らしていた
ぼたぼたとゆれる梢は縄跳びのようで
とまったカラスはこまったように
何度も頭を下げていた
部屋の明かりがぼわっとした衣を纏う
ジャケットかワイシャツかレインコート
透明なので安いやつだろう
ふわりと吹いた風が
道路敷から立ちのぼった湯気を
天の上へと押し上げる
カンタダはうまく空まで行けただろうか
しあわせという名の友達が
そろそろ君に会いにいくよと言ったままで
一昨日も一昨々日もついに来なかった
小学生の行く先にある
団地近くの公園のブランコが池に沈んでいた
ため息をつきながら眺めていたら
ぽろぽろと足洗い場の蛇口から星が流れ出してきて
波紋と漣と
カーテンの隙間から漏れる光で
霞のように輝いて見えた
もえるような湿度の毎日だけど
そう悪くもないんじゃないかと思っている
そうして今日も 太陽は雲の中
梅雨時に書いた詩
ochikunです。
今は都内の団地にパートナーとお子と3人で住んでいます。