わたしには人生がないと思っていた
いまも時々そう思うことがある

昔から、自分のことを話すより
人の話を聞く方が好きで、みんなが楽しそうにしているのを観るのが好きだった
(ゲームとかもひとがやってるのを見る方が好き 実況動画とか)

映画やお芝居を観るのが好きなのも多分同じ理由で、
自分には人生がないから物語の中で人生を感じているのかもしれない

だから友達から何か相談されたり話聞いたりすると、
自分のことみたいに嬉しくなったり悲しくなったりするんだけど、
いいアドバイスとかはできなくて
すごいな、人生だな…とかちょっと羨ましく思ったりさえしてしまう
その後で、もしや自分は共感性が低い人間なの?となってこわくなる
(ラーメン屋さんのカウンターで、目の前でバイトの人が店長に怒られてるのとか見るのは本当に無理ですが)

私は人と話していて え?そんなことよく覚えてるね!と言われることが結構ある
あと、割と会った人の顔も覚えてる方だと思う
おっ自分って記憶力がいいんだな~と思っていたけど、
それ以上に忘れっぽいところも多くて、
さっきまで覚えてたのにスーパーに入った途端買おうと思ってたものを忘れるし、
いろんな場所に定期券忘れてきちゃうし、
お酒をたくさん飲んだ次の日はほとんど話したこと覚えていない
自分の心臓がどちら側にあるか忘れるので、
たまに手を当てて右か左を確かめている

昔日常の記憶を瓶詰めにして作品にしようとしたことがあって、
全然その後続かなかったけど 
その時に集めた些細な記憶は
いまも全部覚えている

多分記憶は糸みたいなもので、放っておいたらそのままするすると抜けていったり途中で切れたりして思い出せなくなるような気がする
毎日が水のように手からこぼれ落ちていく感じ

不確かで曖昧で、無いようにみえる現在を
少しでも思い出せるように
縫うようにしてここに残しておきたい

日々を縫う

やさしい世界に
記憶を残せることが嬉しいな

作ってくれて本当にありがとう

2020.0209

poshi